風邪に効果的な民間療法

風邪に効果的な民間療法


このページでは、患者さんの辛さを和らげることにも役立つ、風邪に効果的な民間療法をご紹介します。

風邪を撃退!安全&効果的な民間療法まとめ

未だに特効薬があるわけではない風邪ですが、風邪の辛さを少しでも抑えるための方法、予防して罹患率を下げる方法なら、これまでに多くの民間療法が生み出されてきました。
中には迷信もありますが、本当に効果が見られるものも少なくありませんので、医療従事者として具体的な方法を把握しておきましょう。
ちなみに一般の医師でもよく処方する漢方薬としては、風邪のひきはじめに良いとされる葛根湯、熱疾患を抑える小柴胡湯、胃腸に影響が出ているケースに有効な柴胡桂枝湯などが有名ですね。
漢方と合わせて民間療法を用いれば、辛い症状を大きく和らげることも可能かもしれません。

西洋の民間療法で風邪を防ぐ!

それでは、風邪の緩和&予防に効果的とされている西洋の民間療法をご紹介しましょう。日頃のケアや知人へのアドバイスにも使えるかもしれません。

■ロシアの民間療法

生のアロエを食したり、胡椒を入れたウォッカを飲むのが一般的。

《解説》
アロエに含まれる苦み成分のアロインは、体内に入るとアロエエモジンという物質に変化します。このアロエエモジンには健胃作用・消炎作用があるため、風邪によって引き起こされたのど・粘膜などの炎症を和らげる効果が期待できるでしょう。さらにアロエシンの抗菌作用で合併症のリスクを抑えられますし、アロミチンには抗ウイルス作用があることも知られています。
次にコショウ+ウオッカですが、まずコショウには発汗を促して熱を下げる効果があります。さらに食前にコショウを摂ると食欲不振を改善する作用も。ただし、コショウを薬用に利用する場合は白コショウを用いなければならないそうなので要注意!ブラックペッパーではダメですよ。
…ただし、ウオッカの飲用については避けたほうが無難。お酒は炎症を促進しますし、肝機能をアルコール分解に回さざるをえなくなり、本来の解毒能力を100%活用できなくなります。 ですから、ここはウオッカを除いて、アロエとコショウだけを摂取するのが賢明でしょう。
■ドイツの民間療法

赤ワインに砂糖・卵を混ぜたものを飲むのが伝統の民間療法。

《解説》
風邪薬の成分として用いられている塩化リゾチームは、実は卵白に含まれている成分なのです。菌を溶かす作用があるほか、腫れを緩和したり痰の切れを良くしたりといった消炎作用もあります。
ただし、70度以上の熱を加えると塩化リゾチームは効果をなくしてしまいますので要注意。また、卵黄にはビタミンA・アラキドン酸といった免疫を高める作用があるため、こちらも風邪に効果的。となると、卵を摂取するのは現代医学の観点でみても妥当といえます。 砂糖のカロリーについても、衰弱している身体にはプラスになるでしょう。となれば、ワインのアルコール分を除けば効果的な方法といえるでしょう。ホットワインにしてアルコールを飛ばし、70度以下まで冷ましたところで砂糖と卵を加えるのなら素晴らしい民間療法になり得ます。
■スペインの民間療法

ホットミルクに蜂蜜を加えた物の他、ローレルとオレンジの皮を煎じたものを飲む場合も。

《解説》
蜂蜜は疲労回復効果のあるブドウ糖の他、糖分を効果的にエネルギーに変えるビタミンB群も多く含まれています。牛乳にもアミノ酸や、安眠効果のあるトリプトファンが含まれているため、医学的にも妥当性をもった民間療法と言えそうです。
次にオレンジの皮ですが、咳を鎮めたり、整腸作用・消化促進作用などの薬効が知られています。
また、ローレルは鎮痛作用を持っているため、風邪の諸症状を緩和する働きは充分に期待できるでしょう。ちなみに、ローレルとは月桂樹のこと。西洋風の煮込み料理に多用されるハーブで、日本のスーパーマーケットでも良く売られています。
■アルバニアの民間療法

ラキというお酒を温めて飲んだり、蜂蜜レモンを食べたりする方法が一般的です。

《解説》
ラキというのはアルコール度数45%くらいの蒸留酒で、ウオッカやジンと同レベルの結構強いお酒。炎症促進作用がある以上、強いアルコールの摂取は避けるべきでしょう。つまり、この民間療法は医学的には正しくないということ。
一方の蜂蜜レモンに関しては充分に合理的。ブドウ糖とビタミンB群を摂取出来る上、レモンに含まれるビタミンCには身体の抵抗力を増す働きがあります。 しかし、これは誰でも思いつくレベルに留まっており、アルバニアの民間療法に関していえば意外性には欠ける印象ですね。
■オランダの民間療法

オランダに住む東洋系移民は、すりおろしニンニクを鼻孔に塗って風邪予防をしています。

《解説》
強力な抗ウイルス作用があるニンニクを鼻孔に塗っておけば、ウイルスが活性を持ったまま体内に入り込むのを防げるでしょう。 せっかくなら疲労回復による免疫力維持を目的に、日頃からニンニクを積極的に食べておくのも良いと思います。 加熱して食べることでアホエンという成分を摂取でき、高い抗菌作用を得ることができます。

風邪に効く!東洋の民間療法

今度は東洋の民間療法について見ていきたいと思います。アジアではどういった方法で風邪から身を守ってきたのでしょうか?

■中国の民間療法

お湯を大量に飲むという方法が知られています。

《解説》
大量の汗をかくことは発熱を抑えるために合理的ですし、身体が内側から温まると免疫システムが活性化するのも有名。 現代医学の見地から考えても、かなり理にかなった方法です。
…まぁ、ちょっと意外性には欠けますが。
■フィリピンの民間療法

グアバ葉をオデコに貼り付けたり、シャワーを浴びたりといった方法が一般的。

《解説》
グアバには貼り付ける他に、お湯を沸かして蒸気を吸い込むという治療法もあります。基本的には発汗を促して、さらに身体を温めるという方向性ですね。
その他、ココナツミルクを混ぜて炊いた粥を食したり、生姜を摂取したりする方法も。 グアバには消炎作用・止血作用があることが知られていますが、額に貼ることで解熱効果があるかどうかは微妙なところ。プラセボ効果を除けば、医学的に“効果がある”と言えるものではなさそうです。
ココナッツミルクに関しては、鉄分・マグネシウム・カリウムといったミネラルが豊富に含まれているため、病中病後の食事としては優秀だと思います。また、生姜には身体を温める作用があるため免疫力向上が期待できますし、健胃作用・消炎効果もあると言われています。
■インドの民間療法

生姜とグローブの花を煎じた液体を紅茶に混ぜて飲用します。

《解説》
グローブについては漢方で丁子と呼ばれ、嘔吐・腹痛を緩和する効果があるとされています。 生姜については消炎効果・食欲増進作用があるため、医学的見地からも妥当な方法でしょう。消化器の症状を伴う風邪の場合に特に効果が期待できそうです。
■ミャンマーの民間療法

生のニンニクを細かく切って食べるそうです。

《解説》
ニンニクには健胃作用・発汗促進作用があるため、風邪には効果的でしょう。ただ、抗菌作用のあるアホエンは加熱することによって生まれるため、生のまま食するより加熱したほうが良さそう。
ただ、ニンニクには他にも抗菌作用のあるジアリルスルフィドが含まれていますし、体力増強に効果的とされるスコルジニンなどが含まれており、生のままでも一定の効果は期待できると思います。
■ベトナムの民間療法

ライソンと呼ばれている葉を大鍋で煮て、蒸気が逃げないように毛布・布団などで覆ってサウナのような状態を作ります。

《解説》
発汗を促して解熱するのは世界で一般的な民間療法です。ただ、体力が大きく落ちている場合は一気に衰弱してしまい逆効果なので注意。 ライソンという植物については全く情報がなく、何とも言えません。